図書館を営む人々の願い
第1回目の「Library Book Circus」は
栃木県にある下野市立石橋図書館にて行われました。
石橋図書館は近隣に大きな公園や競技場、
豊かな自然があり、
周辺施設を利用するために多くの人が訪れます。
しかし、
全ての人々が図書館を利用するわけではありません。
「公園で遊ぶ子供たち、競技場で運動をする人々、
その人たちがもっと
図書館に親しみを持てるようになれば
図書館はより活気づくのに。」
館長をはじめ石橋図書館の職員さんはそのように感じていました。
そこで、
“色んな人が立ち寄りたくなる親しみやすい石橋図書館”をイメージしつつ、
「Library Book Circus」のテーマである“地域の魅力発信”のため、
地域で活躍される様々な方々に準備段階から当日のパフォーマンスまで、
ご協力・ご出演をお願いしました。
周辺の施設を利用している人々にもイベントの雰囲気が伝わるよう、
図書館前の敷地に「Welcome Area(ウェルカムエリア)」を設けました。
広々とした屋外の環境を活かし、
いつもと違う図書館を演出する“サーカス小屋”の設置や、
楽器演奏を交えたパフォーマンスが繰り広げられます。
Welcome Area
1日目のパフォーマンスは楽器の演奏に合わせて
絵本の読み聞かせを行う「歌い聞かせ」。
「はらぺこあおむし」や「ねずみくんのチョッキ」など、
お馴染みの絵本も音楽に合わせて体を揺らしながら聞くことで、
より物語の世界に入り込んでいくことが出来ます。
「歌い聞かせ」はYOURS BOOK STORE(現ひらく)の他イベントでも好評をいただいております。
2日目のパフォーマンスは栃木県を中心に活躍する
パフォーマンス集団「instants circus」に出演していただきました。
バイオリン、ウッドベース、タップダンス、ジャグリングで
構成される音楽と軽快なダンスによって、
石橋図書館前は大盛り上がり。
「instants circus」は普段から各地のイベントに出張出演しているものの、
図書館での演奏は今回が初めて。
自分たちの活動の幅を広げる機会として、
「Library Book Circus」への出演をご快諾いただきました。
サーカス小屋にはイベント中に集められた
来場者からのメッセージカードが貼付され、
図書館での思い出や街の好きなところが寄せられました。
時間と共にメッセージカードが増えていき、
真っ白だったサーカス小屋を色鮮やかに飾りました。
児童書コーナーを中心に親子で楽しめるコンテンツを集めました。
普段から図書館で活動されている方々とのコラボレーションにより、
いつもは図書館を利用しない親子連れの来場者にも
図書館での楽しみ方を知っていただく機会となりました。
Kids Friendly Area
NPO法人・みんなちがうからおもしろいによる
カラフルな色紙を使った張り絵ワークショップ「カラペハリエ」や、
地域のボランティア団体・石橋おはなし会による
投影機(OHP)を使った影絵読み聞かせ。
各コンテンツを事前申込制にし、
出演者みんなで宣伝活動を行うことで
「Library Book Circus」開催前のワクワク感を
作っていくことが出来ます。
また、
YOURS BOOK STOREの絵本の展示企画、
本を読んだときの心の動きを心拍数(BPM)で表現する
「BPM Reading」も行いました。
来場者の方々はもちろん、
図書館の職員さんにも「BPM Reading」を知っていただく機会がうまれました。
ご好評により「Library Book Circus」終了後も
「BPM Reading」は継続展示が行われました。
働く人の顔が見える。
現役の図書館職員さんに普段の図書館業務や自館の魅力を
お話いただくトークショー「おしえて司書さん!」を開催しました。
図書館は地域の情報が集まる場所です。
そこで働く職員さんもその土地の過去から現在まで様々なことを学び、
その知識をもとに図書館の蔵書整理や利用者の方の調べ物をお手伝いしています。
物知りで頼りがいのある職員さんたちの一面は勿論のこと、
「Library Book Circus」の企画を共に作り上げていく中で
見えてきた職員さんの魅力を
トークショー形式でお伝えします。
図書館で働く人の雰囲気を知ることで、
図書館により親しみと愛着を感じやすくなっていただく狙いがあります。
Talk Show Area
また、下野市で街づくり活動を行う団体
シモティ代表・山口貴明さんによる
「しもつけのくらし座談会」や、
下野市立教育委員会文化財課の職員様による「歴史講座」も開催しました。
様々な方が図書館で主催者となり、
熱意をもって参加者に向かっていく、
そうすると参加者もその熱につられて
姿勢が前のめりになっていく、
その反応によって主催者自身もその場を楽しむことが出来る。
そんな主催者と参加者間の熱量の連鎖が
図書館を、街を盛り上げていきます。
その他、
下野市役所産業振興部商工観光課様よりお貸しいただいた特産品のディスプレイや、
下野市にちなんだ10のキーワードによる選書「しもつけの魅力展」など、
地元の来場者も驚く地域の魅力をご紹介する展示を行いました。
図書館から発信される
街の魅力。
開催日の2021年7月23日、24日は日中30度越えの夏の暑さに加え、
コロナ禍での感染症対策、東京オリンピック開会に合わせた交通規制など、
様々な環境要因に配慮してのイベント実施となりました。
各コンテンツを事前申し込み制にし、
参加定員上限を設けるなどの対策を行いましたが、
当日は2日間で合計1924人のご来場があり、
図書館の前週末来館人数と比較しても2倍以上の来館効果がありました。
来場者からのメッセージには、
「図書館は静かなイメージですが今回のイベントで見え方が変わりました。
図書館がもっと楽しい、色々なことが出来る場所になることを願っています。」
「2歳の子どもと普段コンサートなどはいけないので、
楽しい時間を過ごすことが出来ました。」
といった感想が寄せられました。
図書館は小さなお子様からご年輩の方まで気軽に立ち寄ることが出来る施設です。
図書館の使い方が幅広くなることで、
より多くの人に様々な楽しみを提供する機会が生まれることが再確認され、
図書館の「モチベ―ション・インフラ」としての可能性を感じました。
また、
「Library Book Circus」にご参加いただいた図書館の職員さんからは、
「普段の図書館では行われないような賑やかなイベントでしたが、
利用者の方々にも好意的に受け入れていただけたようで良かったです。」
「下野市について、まだまだ知らないことがあると痛感しました。
もっと下野市についての理解を深めていきたいです。」など、
図書館利用者の新たなニーズを発見したり、
今後の図書館業務へのモチベーションアップに繋げることが出来ました。
「Library Book Circus」は来場者の方々に楽しんでいただくだけでなく、
企画を運営する図書館の職員さんにも充実感を感じていただくことを
大切にしています。