「買う」ではなく「本と過ごす時間」に
プランニングディレクターである染谷が、2014年にある夢をみました。そこは静かなキャンプ場で、めいめいが読書をしているイベントが開催されています。ハーブティーやコーヒーが振る舞われる屋台。穏やかな音楽が演奏されるコンサート。それぞれが楽しみつつも、全体的に繋がっているようなさわやかな連帯感。
トライアルサウンディングという手法で、出身地のキャンプ場が利活用方法を募集しているのを知った時、その夢の風景を実現できるかもしれない、とすぐに行動にうつしました。
アウトドアイベントを開催するにあたり、ノウハウがなかったので、知り合いを通じてWonder Wanderersの須藤さんと出会い、2社合同の企画として進めていきました。
夢に見た景色。
哲学者H.D.ソローが森の小屋で過ごした日々を綴った思考と行動の名著「森の生活」。今回のイベントを考える上で、タイトルを考えていて頭に真っ先に浮かんだのがこの本でした。改めて読み進めてみると、イベントで実現したい情景が目に浮かぶよう。
この本を通じて伝えられているメッセージを、実際のイベントに転用するとどうなるだろう、と自分がある意味で翻訳者になったようなつもりで、イベントのコンセプトとコンテンツを組み立てていきました。
本をモチーフにする。
イベントを開催するにあたり、近隣の方や地元の方にも知ってもらい、来ていただけるようなものにしたいと考えました。なぜなら、会場であるあすなろの里は長く地域に根ざしていますが、新しさや新鮮さにおいては少し物足りない状況もあったからです。
そこで、地元の人とコラボしながらもこんなことができるんだ!と思っていただけるような仕掛けがしたい。ただ外からコンテンツを引っ張ってくるだけではない方法を考えました。
地域の常総市図書館に出張してもらい、選書で参加していただく。近隣の農家であるジーバナ農園には地元野菜の即売会を出店していただくなど地域連携を大切にすることで、多くの地元関係者の方にも来場していただくイベントになりました。