読書離れ、本離れと言って久しい(何十年言われているのか)ですが、それはただの結果です。
では、なぜ、そうなっているのでしょうか。
原因のひとつは、「まとまった時間とその対象に集中する機会」が奪われているからです。ぶつ切りになってしまう忙しい時間のなかで、長編の本を読むというのはとても難しいこと。一泊二日、約20時間。そして、箱根の山の上のホテルで客室にはテレビもありません。そういった機会、場をつくることにより、「本を読みたくなる」モードをつくることができるのです。
また、「本を読みたくなる」ための助走として、ホテルならではの特徴があります。それは、宿泊のための予約をすること。「1ヶ月後に箱根本箱に行くんだ」と予定を意識することで、少しずつ助走が始まります。そして、いざ館内に着いたとき「本を読みたくなる」モードにスムーズに入ることができます。
「ひとつづきの時間」
をどうつくるか。
ピラミッドのような図をイメージしてください。
日常的に毎月何冊も本を読む人は、頂上のほんの少しだけ。毎月1~2冊程度読む人が中腹に。「本なんて、何年も読んでない。1ページ読むだけで眠くなっちゃう」という中下段に広がっています。
箱根本箱に来て欲しい人は、その普段本を読まない人たち。温泉や食事も充実しているこの施設で、たまには本に手を伸ばして欲しい。
そのための仕掛けのひとつとして「あの人の本箱」があります。さまざまな業界で活躍される著名人が選んだ書籍を紹介する選書企画です。タイトルだけでは興味が湧かなくても、「あの人が紹介しているなら」とつい興味が湧いてくる本が出てくる。
ふだん
本を読んでいるのは
誰か。
わたしたちはこれを”タグを増やす”と呼んでいます。
つまり、導入のきっかけになる入口をいかに増やすかということですが、あの人の本箱で言えば「人」というタグが増えることで、その本を手に取ってもらいやすくなっています。
ブランドや他のコンテンツなど、タグになるのは人に限りません。
ブックホテル箱根本箱も、普段本を読まない方々が本に手を伸ばすひとつのタグとして機能していると言えます。
箱根本箱に限らず「本というコンテンツにいかにタグを増やして目を向けてもらうか」が私たちのミッションの一つです。
また反対に「本を用いることで他業界の企業や企画のタグを増やす」ことにも取り組む機会も増えています。