私たちは、箱根本箱をただ本がたくさんあるだけの施設にはしたくありませんでした。そのためにも、本の「モノ」としての魅力を端的に表現できるアート作品を展示したいと考えました。
壁一面を埋め尽くすように古書が広げられ、その上に直接ペイント。モチーフは動物もあれば人間もあり、それがどこか不穏なトーンが描かれる見る人の思考を促すような作風。
イタリア在住のロシア人アーティスト、エカテリーナ・パニカノーヴァさんの作品をレストランに展示しています。ギャラリーを通さず、直接作家とやりとりして作品を購入。開業前には来日していただき、作品の仕上げをしていただきました。日本で彼女の作品が見られるのは箱根本箱だけです。
ただ本が
たくさん
置いてあるだけ
の施設には
したくなかった
詩人 谷川俊太郎さんが書き下ろした、箱根本箱のための詩。この詩を読むためには、箱根本箱にお越しいただくしか方法はありません。
複製・拡散することが書籍の価値とされてきましたが、その価値はいまや、インターネットに軍配が上がってしまいます。であれば逆に、「その場でしか体験できないこと」にフォーカスすることが必要なのではないかと考えました。
箱根本箱でしか体験できない読み物、短い時間で読むことができ、かつ余韻をもたらすもの。それは、詩でした。