図書館で配置される書籍は、NDC分類(日本十進分類)に沿って展開されています。これは、その分類をしっかり理解していればとても効率が良く、利用者にとっても便利な分類法です。
ただし、日常的に図書館を利用しない人にとっては、NDC分類が本と出会う機会ロスにつながってしまうこともあります。そこで、館内45,000冊の蔵書のうち、特集コーナーとして1,000冊の選書を担当させていただき、NDC分類に囚われないコーナーを作りました。
コンセプトは「今日、いまからのファーストブック。」とし、既存ジャンルに捉われない本との出会いを5つのテーマで演出しました。
NDC分類と既存ジャンルに捉われない本との出会いを演出する。
「今日、いまからのファーストブック。」を構成する5つのジャンル
サリンジャーやトウェイン、ドストエフスキーやカフカ、乱歩や賢治 etc。古典には、永く読み継がれるからこその「力」があります。いつでもどこでも読む機会がある名作だからこそ、その最初の出会いを大切にしてほしい、そんな想いをこめて選びました。
〈選書タイトル〉
フランツ・カフカ「変身」・マ-ク・トウェイン「ハックルベリー・フィンの冒険」・宮沢賢治「銀河鉄道の夜」・池澤夏樹「ブリキの太鼓」etc.
1 | いままで、
そしてこれからも。
思考の道具にも、心の癒しにもなる言葉のちから。すぐに役立つことよりも、この先の未来で発想や創造の種となるような幅広いジャンルの本を集めました。今日読んだことが、自分の成長とともに醸成されて、いつか花開くはずです。
〈選書タイトル〉
是枝裕和「映画を撮りながら考えたこと」・ジャック・アタリ「海の歴史」・佐渡島庸平「ぼくらの仮説が世界をつくる」・塩見直紀「半農半Xという生き方」etc.
2|未来は僕らの
手の中。
感想の共有は読書の醍醐味。自分と相手の受け取り方が違っても、それはむしろ新しい視点を知ることができる良い機会です。あっと驚くどんでん返しの裏にはきっと未知の世界が広がっている。多種多様な見方を発見できる懐の深い本を選んでいます。
〈選書タイトル〉
カ-ト・ヴォネガット「これで駄目なら」・西加奈子「i」・福岡伸一「動的平衡」・デボラ・インストール「ロボット・イン・ザ・ハウス」etc.
3|思わず誰かに
伝えたい!
短い時間で読める本とはいったいどんな本だろう。短編?詩集?写真集?言葉の辞典?読書の魅力がぎゅっと凝縮された、一瞬の閃光のような濃い本ばかりです。
〈選書タイトル〉
氏田雄介「54字の物語史」・茨木のり子「倚りかからず」・川内倫子「うたたね」・小河俊哉「空の辞典」etc.
4|3時間の熱狂。
本の魅力には、そのプロダクトとしての美しさがあると思います。ページをめくるときの手触りや装丁、表紙の配色、字体や挿し絵の美しさ。見ているだけで、その世界に没入したなる「本」として一級品ばかりを集めました。
〈選書タイトル〉
トミ-・ウンゲラ-「すてきな三にんぐみ」・細川亜衣「食記帖」・皆川明「ミナペルホネンの時のかさなり」・南方熊楠「南方熊楠菌類図譜」etc.