千葉県にある富津市立図書館は、2023年4月にイオンモール富津3階にオープンしました。

指定管理は株式会社図書館流通センター（TRC）が行っています。
ひらくはオープンの目玉となる企画コーナーのコンセプト制作、4,000冊の選書、配架までを担当しました。
オープン時に際立った企画コーナーを用意したいという富津市立図書館の想いがあってのことでした。

オープン初日にはNHKのニュースにも取り上げられるなど大きな注目を集めた富津市立図書館ですが、実はこれまで市の財政状況などの課題があり、富津市は全国でも数少ない「図書館のない市」でした。
しかし、イオンモール富津から同施設内の空きスペース活用の提案を受けた富津市は、念願だった市立図書館の開館を決めました。

これまでイオンモール富津は買い物や憩いの場は充実していましたが、今後は文化に触れられるような空間もつくりたいという想いを持っていました。そこで、今回３階エリアに市立図書館や図書館前広場をつくり、地元の方々やイオンモールを訪れた方々が気軽に文化に触れ、情報をインプットしたりアウトプットしたり出来る場所へと生まれ変わらせることにしたのです。

これは館のコンセプトです。お買い物ついでにふらっと立ち寄ったり、学生の学習利用や社会人の利用も可能な、ゆったりと滞在できるくつろぎの場があったりと、幅広い世代の方々が気兼ねなく利用できる図書館を目指しています。

図書館全体は、海の町である富津市のイメージが各所で表現されています。内装は富津岬をイメージし、グリーンの床が広がる中央部分には富津岬の展望台を模した展示エリアがあります。児童書コーナーには海に浮かぶ船をモチーフにした閲覧席があり、その船内を思わせる「おはなしのへや」は読み聞かせや親子でくつろぎながら読書ができる空間になっています。

ひらくが担当した企画コーナーは、館内で最も目立つ展示エリアの中にあります。POPデザインや選書にも富津らしさを散りばめ、柔らかい雰囲気にすることで誰でも入りやすい空間になるよう心がけました。この図書館が地元の方々の誇りの場所になってくれたら私たちも嬉しいです。

イオンモール富津は今回3階全体がクリエイティブな場所に一新されています。
図書館の外側、正面エリアの床は、図書館のオープニングイベント「つくろ。あそぼ。まなぼ。FUN THE COLOR ペイント大作戦」で大胆にリニューアルされました。元々あったタイルを剥がしてコンクリートにし、そこに子どもたちが自分の手足やローラーを使ってインクでカラフルにペイントするという企画です。地元の方々がこういった文化活動に参加した証が残り、イベントに参加した人もしていない人も、ここを訪れる度に参加実感を得られるのはとても魅力的です。

参考：イベントの様子（Twitter/X）

床だけでなく、3階のお手洗いの壁はアーティストの方に描いていただいたイラストで埋め尽くされています。
3階に入った瞬間からクリエイティビティを刺激され、そのまま図書館というクリエイティブの宝庫に入っていけるという、豊かな動線が出来上がりました。

また、図書館前広場では工作教室を定期的に開催しており、図書館に来て本や知識のインプットをするだけでなく、それらをアウトプット出来る場所も一緒になっています。
親御さんが1階などで買い物をしている間にお子様が図書館に行ける環境は、複合施設ならではの良さだと思っています。親としては安心して買い物に専念できますよね。